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[No.605] ≪母乳・育児と免疫学の関係 〜トランスファーファクターの可能性〜≫ 投稿者:岡田麗和  投稿日:2008/04/03(Thu) 02:02
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  ≪母乳・育児と免疫学の関係 〜トランスファーファクターの可能性〜≫
    ドクターズセミナー 講演:橋本武夫先生   2008年3月21日

 “おっぱい先生”こと橋本武夫先生の講演が、広島で開催されました。
 橋本先生は神戸のご出身ですが、幼少期を広島で過ごされました。
 「爆心地の川向に実家がありました。1945年8月6日の原爆投下の4日前に、私は新潟に疎開して、
偶然助かったわけですが、祖父母は爆死しました。…」と、当時を振り返リながら、ご自身を紹介されました。
 橋本先生は、久留米大学小児科臨床教授や、聖マリア病院母子総合医療センター総括などを歴任され、現在も聖マリア病院でご活躍です。
 母乳・育児を、大きな視点で分かりやすく、映像を交えて語って下さいました。遅ればせながら、皆様にご報告させて頂きます。


●母乳・育児と免疫学 トランスファーファクターの可能性
 橋本先生は、「“おっぱい”とトランスファーファクターは、初乳で繋がっています。」と、優しい声で話し始められました。
「以前は、1kgに満たない未熟児の赤ちゃんは、10人の内8人が死産し、生まれた2人の内、
1人しか生きることができなかったのを、何とか助けてあげたいと、そう思って入った世界です。
今では、10人の内8人が助かるまでに、新生児医療が発達しました。」と、
聖マリア病院の保育器で、健やかに眠る赤ちゃんの映像を写しながら、話を進められました。

●子育て構造の崩壊の危機
 今、社会現象化しつつある虐待は、育児と教育の狭間で起こっています。
子育ては、胎児・幼児期における母子関係(愛着)に原点があります。愛着とは、ある特定の対象との間に形成された愛情の絆であり、永続的な基本的な信頼関係、
つまり人を愛し信頼することの基盤になります。
先ず、赤ちゃんを抱いて、語りかけて、おっぱいを上げる事から始まります。

●家庭と社会の問題
 食育が崩れています。朝(食)抜きや偏食の子供がとても増えています。
遅寝遅起きによる乳幼児の睡眠障害は、前頭葉の発達障害を惹き起こしています。
社会環境の変化で、子供が病気になっても母親が仕事で、子供が一番いてほしい時に母親がいない。
父親の権威が落ち一家の主が不在になり、躾や家訓が消え、子育ての伝承がなくなりました。
赤ちゃんをあやす事も知らない母親が生まれています。
 かつては子供の犯罪が多い米国でしたが、クリントンは「生涯の最初の日」を設定し、
赤ちゃんへの母乳率を上げた結果、犯罪と虐待率が下がっています。
 日本では文科省の検討委員会で、「心の問題」を今日的な社会問題と位置づけました。
子供の人間関係に、適切な“愛着”形成が必要であると、国の政策の発想を転換するように、直訴してきました。

●新生児=神生児
 2億(最近は減少して1億〜)の精子が過酷な旅に出て、たった1匹の精子が卵子に突入することで生命が誕生します。
それは1〜2億の同僚を背負っているとも言えるほど重たいものです。
(胎児が成長する映像を写しながら)お腹の中で胎児は、5ヶ月で味覚、嗅覚、触覚、聴覚等が発達し、指しゃぶりをしています。
7ヶ月では母親の感情を感知します。母親がゆったりすると、赤ちゃんもゆったりします。
嫌な音(すりガラスをこするような音)や怒鳴り声を聴くと、赤ちゃんは、ステロイド(副腎皮質ホルモン)を通じて心拍数が上がります。
胎児の能力は、とても神秘的です。

●最初の食育:おっぱい
 胎児のときは、胎盤を通して免疫を貰ってきましたが、出生後はおっぱいから貰います。
20〜30年前は、出産後1日以上母乳を上げなかった時代でした。
今は出産後の生理が分かってきて、初乳の重要さが認識されています。
生まれた赤ちゃんは、カテコラーミン(覚醒ホルモン)が生後2時間以内に目覚めます。
生まれたすぐの赤ちゃんを、お母さんのお腹の上におくと、自力で這って15分後に乳首を吸うことができました。
胎児のときに発達した嗅覚で、おっぱいの匂いがわかるのです。

●HUG(ハグ)は育児の原点
 母親は出産後、プロラクチン(促乳ホルモン)が分泌され、母乳が産生されます。
母乳哺育(乳頭吸綴刺激)によって、下垂体からプロラクチン(促乳ホルモン)と、オキシトシン(射乳ホルモン) が、母性行動の中枢から分泌されます。
これは母性愛ホルモンとも言います。
 子供は愛されて、育ちます。
赤ちゃんを抱いて、語りかけて、おっぱいを上げる、HUG(ハグ)することで、育つのです。
父親の存在も重要です。父親の育児参加とは、子と母を抱きしめることです。
夫(父)や社会へ向かうべきものが、子供に向かい、虐待につながるのです。
 支えあい、響きあう環境の中でこそ、育児教育は行われるものなのです。

●歴史的な育児の原点
 女=母はEduce(エデュース)と言いますが、ギリシャ語でおっぱいの意味です。Educationとは、保育の原点です。
基本的信頼関係(愛着)の構築は、乳児期に、抱いて語りかけおっぱいを与えることで響きあい、優しさは育まれます。

●今なぜ母乳育児か? 〜幼児期の母と子の信頼、絆の構築〜
 子育ちの基本は、1〜2歳で心の安定(基本的信頼関係)ができ、3歳で自主性(自我の目覚め・自立心)が、
そして、10歳頃に社会性ができてきます。遊びや戯れを通じて友人関係から学びます。
闘ったりいじめたりすることで、けじめも学びます。知的教育は10歳からでいいと、脳の学者が提言されています。

●母乳の神秘 
 母から子に伝える限りない神秘、それが母乳です。
未熟児を生んだ母親からは、未熟児用の脂肪の少ない母乳が分泌されます。
栄養だけなら母乳でなくてもいいのですが、母乳と人口(粉ミルク)の違いは明らかです。
死亡率で見ると、母乳=1に対して、混合=2.1、人口=5.6という比率です。
アフリカなどの貧しい国では、赤ちゃんにとって母乳が命の綱です。
エイズの母親も赤ちゃんに母乳を与えます。免疫を貰うので、ミルクより長く生きられるのです。

●母乳の免疫機構
 胎児には胎盤を通じて免疫を移行させています。
出産後は母乳を通じて、分泌型IgA(腸管免疫)を与えます。
トランスファーファクターがNK細胞を活性化し、免疫システムに刺激を与えるように、母乳は腸管循環に働きます。
ラクトフェリン(鉄結合タンパク)やリンパ球やマクロファージは、大腸菌やカンジダ、C型肝炎などの感染症を予防します。
初乳は免疫のコンク(濃縮)ジュースです。

●トランスファーファクター(免疫伝達物質)
 【トランスファーファクター】は、何代もの母親からの移行で、
病気に対する情報を持ったものを、凝縮して母乳に伝えている、それが初乳です。
加齢による細胞破壊を助ける核酸のサポートをします。
母乳は、体系的に支える物質を持った高貴なものです。
NK細胞やマクロファージなどの免疫学的なバリアーを突破した腫瘍や、
癌化した細胞が、【トランスファーファクター】によって消滅されるように、初乳は癌を防ぎます。母乳は虫歯菌も抑えます。
おっぱいで免疫と栄養を与え、HUGして心が育ち、愛着や信頼が生まれ、社会性が育って行くのです。
HUG(ハグ)して、支えあい響きあうことが大切です。

最後に、橋本先生は、ご自身の家庭・教育にも触れられ、ご夫婦でたしなまれる川柳を、
ユーモアたっぷりに、惜しげもなく披露して下さいました。

●橋本家の躾
  礼節が躾の基本、家の中で仕事を与える、必要なときは体罰も、夫婦仲良く!

●川柳 (橋本先生ご夫婦の、対句です。)
  夫 お前の口に 一度貼りたし 絆創膏 (注:ガムテープでないところに愛情が表れているそうです。)
  妻 あなたの湯飲みに 一度入れたし トリカブト

  夫 青森に 行かずとも見れる ねぶたかな
  妻 耐え切れない 昔ダーリン 今ダラリン

 夫 罪ほろぼし 一夜一夜の 腕枕
 妻 なに言うか 禿がハグして はぐらかし (一同爆笑)

  
  橋本武夫先生、素晴らしい講演を有難うございました。

≪お詫び・お願い≫
 橋本先生は、映像などを映しながら、約2時間に亘ってお話し下さいました。
 録音が禁じられていましたので、私の記憶違いや、認識不足も多々あるかと思いますが、どうぞご容赦下さい。お気付きの点等、岡田までご指摘いただければ幸甚です。


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